「医と食」(前編)
若いころ、「効果的な栄養補給の方法を並べろ」と云われたら、
1.中心静脈栄養(心臓に近いところの太い静脈にチューブを入れて点滴する)、2.末梢点滴(ふつうの栄養点滴)、3.経管チューブ(鼻から胃までチューブを入れて栄養する)、4.胃瘻(当時はまだ先端医療)、と答えたでしょう。
ニンゲンは「噛む」ことが重要で、それができなければ流動食でも良いから何とか口からモノを食べさせなさい。少なくとも胃を通して栄養を!という指導を受け、理屈では良く分かっているつもりでしたが、それでも十分計算された中心静脈栄養を点滴すれば、「元気になれる」と思っていました。
この歳になって、「食べる」ことの重要性がやっと実感として分かるようになりました。ニンゲンは「食べる」ことができなくなったら遅かれ早かれ死を迎えるのであり、最新の栄養学理論に従った完璧なる点滴がなされたとしても臓器は滅びの方向にしか向かわない。何よりも「気力」は生じない!ということを、臨床で頑張る若い先生方には強く伝えたいと感じています。
先日、「医と食」という雑誌(生命科学振興会)の創刊号が送られてきました。今、医者が「食べる」ことにきちんと目を向け、栄養スタッフに丸投げせずに自ら勉強し考えていく時代が来たことを感じて、嬉しく読ませてもらいました。
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