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芝居を観る。芝居を楽しむ。

大学時代に演劇部に入りました。

年2~3回の定期公演のために日々練習をくり返していました。時期が来ると、差し入れを持った先輩たちが夜な夜な練習を見に来てくれます。本番の一週間くらい前にあるリハーサルは多くの先輩たちがきびしい評価をしてくれる一番緊張する日(たぶん本番より緊張する)です。「学芸会じゃないんだから」「入場料分の芝居を見せないと詐欺だ」「こんなのでお金をもらうつもり?」・・・毎回かなり厳しい評価をいただきます。どの程度が入場料分の演技なのか明確な基準はありませんが、温かい叱咤激励だと受け止めて本番までに一気に気運を高めていくのが常でした。

そんな環境だったため、わたしはいつも批判をする目で芝居を観ていました。それがアマチュア演劇でもプロの芝居でも変わりなく、いつもアンケートにどんな批評を書くかを考えながらあら探しをするような目で観ていました。自分がするならどうする?という目で見てしまうのです。それでもおもしろい芝居こそが本物だ!などと嘯(うそぶ)いていましたが、つまるところ、同業者や後輩に負けたくなかっただけかもしれません。だから、芝居を観てもちっとも楽しくなかった。

芝居を楽しめるようになったのは、上京した友人たちの芝居を観に行くようになったころからでしょうか。「自分は役者」のココロを捨てて「私はただの観客」になる。肩肘張らずに観れる異空間はとても楽しく、あっという間に時が過ぎ去りました。感動で涙がでました。ずっともったいない時間を過ごしてきたんだなと後悔しました。悪いところを探さず良いところを観る・・・人や組織をみるときにも通じる、そんな世界の嬉しさを、わたしは遅ればせながらそのときに体感することができました。今は、芝居を観るのが楽しみです。ただ、熊本に帰ってきてからはなかなか観に行けません。東京の人がうらやましい。

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