クレアチニンと筋肉
「血中クレアチニン」といえば腎機能を表す物質として有名です。腎臓で濾過されておしっこに出て行くものなので、血液中にクレアチンが多く残っているほど腎機能は低下していることになるのです。ところで、もともと筋肉中の「クレアチン」が代謝して「クレアチニン」になるので、当然筋肉量に比例してクレアチニンは増加します。若いマッチョの方が高いですし、男性の方が女性より高くなるのが普通です。
先日の第52回日本糖尿病学会で「血清クレアチニン低値は2型糖尿病の発症リスクである」という発表がありました(The Kansai Healthcare Study: 大阪市立大針田伸子先生)。40~55歳の糖尿病でない男性のうち、登録時にクレアチニン値2.0mg/dl未満だった人を4年間追跡した研究です。その結果、クレアチニン値が低ければ低いほど糖尿病になる率が有意に上昇したというものです。つまり、筋肉が少ない人ほどクレアチニン値が低くなるのであり、それは基礎代謝量の低下や運動不足の表れだから糖尿病悪化の誘因になる、という考察でした。
至極当然のように書いてきましたが、実は正直なところ、まったく想像だにしていなかった話題なので驚きました。クレアチニンは高値なほど危険なのであり、糖尿病が悪化すれば腎機能が悪くなるのであるからクレアチニン値は上昇するもの。クレアチニン値が低い、などということは臨床上には何ら病的意義はないものだと思ってきました。またひとつ勉強になりました。
「歳をとると腎機能が低下するかわりに筋肉量も低下するから、クレアチニン値は相殺されて年齢が上がっても変わらない」という理論を読みながら、「なるほど」と簡単に納得してしまいましたが、それって、本当に正しいのかしら?
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