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血糖の正常高値は正常にあらず。

「空腹時血糖が正常高値の人は健常者よりも糖尿病が約6倍も発症しやすい」・・・大阪で行われていた第52回日本糖尿病学会のシンポジウムで札幌医大の大西浩文先生が発表したこの内容は、なかなかセンセーショナルなものでした。

北海道には、九州の久山町研究に匹敵する、30年以上続いている疫学研究(端野・壮瞥町研究)があります。この研究に登録されている受診者を最大16年追跡してみると、最初に受診した時の血糖値が90mg/dl未満だった人が糖尿病になる危険性を1としたとき、なんと90~99mg/dlで2.2倍、100~109mg/dlで6.42倍、110~125mg/dlで14.78倍になるというのです。それもかなり早い時期(例えば100~109mg/dlの場合、5年後ですでに6.76倍の危険性)に。つまり「血糖値は低ければ低いほど糖尿病になりにくい」という結論です。医療関係者の方はご存知でしょうが、これまでの健診では、126mg/dl以上が糖尿病型であり、110mg/dl未満は「正常」でした。昨年変更されて100mg/dl以上を「正常高値」として分けて、注意を促すようになったのです。

「この『正常高値』は厳しすぎる」と医療現場では不評でした。そんな値で引っかけたら異常者ばかりになる!とか、肥満者(メタボ)じゃなかったら心配いらない!とか勝手な手心を加えて説明している医者も少なくないでしょう。先日、ある受診者からクレームがありました。「結果説明が厳しすぎてショックを受けたから来年から受けたくない」というものです。部長は「大した異常じゃなかったのに大げさに説明しすぎたせいだ」とスタッフに説明していました。たぶんその説明をしたのはわたしです。「バカいってんじゃねえよ。あんな異常値を大したことないとか云ってるからみんな病気になるんだろうが!」と内心で思いながら聞き流していました。そんな異端児のようなわたしだから、正式な学会でこんな発表があると自分のやっていることが間違っていないことが確認できて嬉しくなります。

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