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歯磨きで菌血症

感染性心内膜炎という病気があります。細菌が心内膜に感染して、命に関わることのある病気です。細菌が心臓の弁膜について増殖してしまったら、いぼ状の塊になって(疣贅=ゆうぜい)急性心不全になることもあり、あるいは菌の塊が脳などの臓器に飛んで詰まってしまったり(塞栓症)、もはや手術などの治療でしか解決しないことにもなりかねません。

と、書いてみたところで、おそらくこれを読んでいる大部分の人が他人事だと思っていると思います。でも、循環器の病院にいますとさほど稀なものでもありません。必ずしも心臓に病気を持っている人だけがかかるとは限らないのです。虫歯や歯槽膿漏を放置しているとずっと菌が体内を回っています。菌血症といいます。これが弁膜に付着して心不全になって入院するというパターンは2年に一人くらいは経験しました。だから、うちの病院の心臓外科医は自分の虫歯治療を最優先で済ますように指導されていました。

菌血症というのは、わりと簡単に起きます。物理的なキズが粘膜につけば菌は簡単に入ります。虫歯治療自体でももちろん菌血症を作ります。だから抗生剤を処方されたりするのです。普通は抵抗力が強いから病気に発症しないだけのことだと思った方が良いでしょう。さて、今回の題名の意味がお分かりでしょうか?そうです。毎日する歯磨きでも菌血症は起こるのであり、感染性心内膜炎のリスクになりうるのです。1回の歯磨きで菌血症になる危険性は低いかもしれないけれど、年に1、2回するかしないかの歯科治療より、むしろ毎日2回も3回もこまめにする歯磨きの方が菌血症になるリスクは高くなってもおかしくはない、ということになります。

だからといって、歯磨きをさぼりませんように。一過性の菌血症を恐れていてもしょうがありません。むしろしっかりと健全な生活をして菌に勝てる体力を保つことが大切だといえるでしょう。

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