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糖の細胞記憶

最近、糖尿病に関して面白い結果報告が出ています。イギリスの歴史ある糖尿病大規模試験UKPDSの追跡調査もそのひとつです。

UKPDSは、「糖尿病の初期段階に専門家がきちんと介入して薬も使ってしっかり血糖管理をした人たちは普通の食事療法しかしなかった人たちより合併症が少なかった」という、当たり前といえば当たり前の結果ですが、実はその後を追跡調査してみていたのです。すると、血糖コントロール自体は介入を受けていなかった人たちと同じレベルになったにもかかわらず、心筋梗塞や死亡リスクはその後も有意差を持って低かったというのです。「Legacy effect」とか「glucose memory」とか称されるこの現象は、つまり診断をつけられたらできるだけ早期にしっかりとした積極的治療を始めて、きちんと良好な血糖コントロールを維持させておくことが大切で、そうなれば細胞は高血糖のときの記憶をきちんと次の細胞に引き継いでいく可能性があるということです。

平たく云えば、「血糖管理は、とりあえず最初にしっかり頑張ることが大切だ!」ということになります。これもまた真理であり、だからこそ病気になって早期、あるいはその前段階のレベルで本人に出会うわたしたちのような健診医師が、その重要性を本人にしっかり伝えなければならないのであります。

「強気すぎて受診者の不安を煽る」と陰で非難されているかもしれない(被害妄想であればいいですが)わたしを後押ししてくれる、とてもありがたい結果報告です。

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