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ことばは聴診器より大切

日経メディカル500回記念号の「あの人はその時、何を語ったか」に、わたしの敬愛する日野原重明先生(現聖路加国際病院理事長)の記事が載っていました。1985年2月号に掲載されたものです。

『医者はせっかちで、説教から始める。「あなた、こういうことしちゃだめですよ」と言う。そうでなしに、患者に質問させる。高血圧だといったら、「あなたはこの病気についてどんなことが聞きたいか、食事のことでも何でも」というふうにまず聞くことが大切です。最初からこうしなさい、ああすると悪いなんて立て続けに言っても、当人は何も覚えてない。自分の質問に対して答えたのは覚えている。先生が勝手に言ったことは覚えていない。』~蓋し正論、まことにもって耳が痛いお話です。

<患者指導の要諦を一言で言えばどうなりますか?>という質問に、『本当のことを言えるような人間関係。体のことも、心のこともね。』・・・当たり前のことであり、とてもむずかしいことです。<ちゃんと薬を飲んでいるかを正直に告げてくれるか?>という問いに対して、『正直に言うような関係をつくればいい』と即答。わたしもその通りだと思って患者さんと接してきました。正直に話しているかどうかは、自分が正直に接していればわかるものです。

『それには言葉が大切です。同じ言葉でも、大げさな言葉を使わないで、非常にリファインされた言葉、その人に合った言葉で対応する。だから医者というのは役者なんだよ。相手次第で、表情なり言葉なり変わるわけだ。だから、ボキャブラリーをたくさん持っていないとだめですね。』~『聴診器とか心電図とかいうと、大切にするでしょう。言葉はそれ以上に大切なものです。』・・・日野原先生の口からこぼれ落ちるように発せられることばは、やはり昔から深いことばばかりです。

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