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禮子さん

人間ドックを受けにきたある女性に結果の説明をしました。

彼女は、診察室に入ると結果報告書を指差しながら、開口一番、「この字、まちがっています。」と云いました。怒っている感じではないのだけれど、でも強い意志を感じる口調でした。彼女の名前は「禮子」さんですが、印刷物には「礼子」と書かれていたのでしす。メインの報告書は「禮子」となっていましたが、いくつかの検査伝票に「礼子」と書いてありましたので、もしかしたら検査室のパソコンの辞書に「禮」がなかったのかもしれません。

「礼」の旧字体が「禮」です。「害」と「碍」のように若干意味がずれているのとは違って、おそらく「禮」も「礼」も意味は同じです。「治」を「二」と書いてあるとか、「斉藤」を「斎藤」と書いてあるとか、そういう間違いは「間違い」なのだけれど、わたしたちは、意味が同じなら新字体も旧字体も同じものじゃないか?と思ってしまうところがあります。

でも、考えてみると、「名前」は「記号」ではありません。他人は、一人の個人を他の人と区別するために「名前」を使います。そういう意味では「A-267897号」でもまったくかまいませんし、「禮子」も「礼子」も同じことです。ところが、本人にとっての自分の名前は自分自身ですし自分の歴史です。親が想いを込めて決めた名前は「礼子」ではなく「禮子」なのですから、「禮子」と「礼子」は全くの別ものです。それは姓名判断の画数の違いレベル以上のものだと思います。

ということで、説明を終えた後にスタッフに変更するように伝えましたが、さて、皆さんにそんな意図は伝わったでしょうか?

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