ゆるせない(後編)
この「怒り」の感情は、うつの状態から回復していく過程で、どうしても生じてくる感情です。少し余裕が出てきた証拠であるとも云えるでしょう。今でも治療を続けなければならない自分や家族への迷惑を考えるとき、「のほほんと平気な顔をして生きている加害者」だけでなく、何の対策も講じることなくそんな「加害者」を野放しに許している職場自体にも、ガマンできないような苛立ちを感じるのでしょう。わたしにも経験があるので、その気持ちは手に取るようにわかります。そのことを思い始めると動悸がし、吐き気がし、床についても興奮して眠れなくなってしまいます。
でも、じゃあ、どうしたらいいのだろう?と、彼に質問してみたいところです。その上司を降格させたり辞めさせたりしたらいいのでしょうか?その上司が彼が思っている程度の人間なら、彼のことを逆恨みしてもっと嫌がらせするかもしれません。彼はかえって働きにくくなるかもしれません。彼はそんな仕打ちに耐えられるのでしょうか。その上司が罰せられても、あるいは指導者から退いても、きっと彼の心はそれだけでは満たされることはなく、何ら解決しないことでしょう。
結局、彼自身がその上司を許してやれる心の状態になるときまで、彼の今の苦しみは続くことになります。でも、今の彼には信じられないかもしれませんが、その日はそう遠くない将来にやってきます。自分がこだわっていたことが大したことではないことに気づき、他人を気にしていたこと自体がくだらなかったと思えるときが、今回の「うつ病」から卒業できるときなのだろうと思います。「時が解決する」というのは真理です。それを得るために焦らずゆっくりとした時間を費やしてもらいたいと思います。
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