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健診医の仕事

eGFRの評価を始めて4ヶ月あまり、先日医局の会議にちょっと遅れて参加したら、それが問題になっていました。あまりにも異常値としてひっかかる人が多く、意味を説明するのに時間がかかるから判定基準から消した方が良いのではないか、というニュアンスの意見でした。

「何を云ってるんだろう、この人たちは?」と耳を疑いました。異常者が多すぎるのは基準がおかしいからだと云いたいのだろうか?思っていた以上に腎臓の予備能が落ちている人が多いということがわかっただけのこと。だからこそ動脈硬化の危険因子を持っている人の生活改善をもっとしっかりやってもらいたい、と指導するのには恰好の材料だと思っているわたしとは、やはり根本的な健診に対する考え方が違うのだなと再認識させられました。

彼らの思っている「健診」は、やはりいまだに「病気の早期発見」なのだなと思います。わたしが健診に求めている「病気になんかならない人生への修正」との意識のギャップはまったく埋まってないように思います。早期胃がんをみつけたとか、乳がんを小さいうちに発見できたとかと同じ感覚で、「もう病気になってしまったものを軽いうちに指摘できる」というのでは、そこいらの病院の医者となんら変わらないではないか!とついつい熱くなってしまうのです。

ちいさな漁船は目の前に障害物が見えてからでもすぐに避けられますが、大きな艦船は肉眼では見えないようなはるか遠くに障害物を発見した時点ですぐに舵(かじ)をとらなければ衝突は免れないものです。現代人の多くがそんな大艦船の生活をしているのだということに気付いて、早く考え方や生活の仕方を変えてくれたらいいなと思いながら、実りの少ないことをグチることなく口うるさく結果説明をしている毎日です。

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コメント

私も健診医です。
まだ駆け出しですが、先生の考えに共感するところあります。
健診については、まだ体系的な文献などがなく、毎日苦戦しています。
偶然見つけたブログですが、これから楽しみにしてみます。、どうかよろしくお願いします。(カメdr)

投稿: カメdr | 2012年4月25日 (水) 17時17分

カメdrさん

初めまして。仲間に読んでいただけてとても光栄です。
怒りにまかせてこの記事を書いたのは3年も前です。うちの施設は変わりました。今は皆ががんの早期発見と同じトーンで行動変容に取り組むようになりました。健診医としてのプロフェショナルをめざしてがんばりましょう。

投稿: ジャイ | 2012年4月25日 (水) 19時45分

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