母乳信者の誤算
小児科クリニックに勤務する妻がテレビをみながらぼやきました。テレビでは、ある産婦人科病院で新米お母さんが我が子に母乳を飲ませる教室を開催していました。
「何でも『母乳、母乳』!って云ってるけど、実はそれなりに考えものなんだよね。保健師さんによっては、ミルクは毒物だから絶対飲ませちゃダメ!母乳あるのみ!って指導する人までいるのよ。困ったものよ。」
母乳には赤ちゃんが必要とする栄養素が、バランス良く過不足なく含まれている。そして母乳には病気に対する免疫力がたくさん備わっていると云われます。
ところが、最近の若いお母さんときたら、決して栄養が十分とは云えません。だから母乳だけで育てると、赤ちゃんに十分な栄養が行き渡らない危険性もあることが報告されています。そしてもうひとつの誤算は免疫の問題。今時の若いお母さんたちは子どものころに本当の病気にほとんど罹っていません。わたしたちは、風疹(三日はしか)・麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)などに普通に罹っていましたが、最近はワクチンをきちんと打っているために、罹らないままのヒトが少なくないのだそうです。ワクチンで作り上げた免疫力は、本当に罹ったときにできる免疫力ほど強くないのです。つまり、お母さん自体に大した免疫力が備わっていなかったりします。
たしかにミルクは毒物です。アレのためにアトピーになり、喘息になり、栄養過剰になり、骨を弱くします。それでも、それでなくてもあまりおっぱいが出ないお母さんが少なくないのに、あまり万能ではなくなっている母乳神話に完全にしがみつくのは、もしかしたらあまり現実的ではないのかもしれません。
昔の常識は、机上の空論としてうち崩されていくんだろうかなあ、と思いました。
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