誰の満足が大切なのか
友人のお母さんが認知症になりました。介護保険サービスを利用して、ある施設で週末にショートステイをお願いしているそうですが、先日大きなたんこぶを作って、施設の人に抱えられながら帰ってきました。行くときはひとりで軽やかに歩いて出ていったのに・・・と家族は驚いたそうです。こんなことは今回で2回目なのに特に詫びを云うでもなくさっさと帰っていった職員さんの対応に不安になった友人は、危機管理について組織としての考え方を聞かせてほしい、と申し出ました。それを受けて家を訪れたのは2人の現場担当者だけで、言い訳をくり返した挙げ句に急用で早々に帰っていった、とあきれ顔で経緯を話してくれました。
こういうトラブルの場合に、担当部署の責任者と現場担当者が来るのが普通だと思います。今回のように、現場の人間に押しつける形の企業がありますが、つまりこれが施設の姿勢なわけで、簡単に云えば「レベルの低い」施設だと云えます。
その話を聞いていたわたしたちは、ついヒートアップしてしまい、「新聞社に投書しろ」とか「経営者に責任の追及をしろ」とか「とにかくさっさとやめさせろ」とか気色ばんで意見を云いました。それに対して、「ただね、母は違う場所に行くと不安がるし、施設の担当者の人とも仲良くやっているのよね・・・」という友人のはなしを聞いて妙に納得しました。友人の人脈を使えばもっと良い施設を紹介してもらえるでしょうし、施設にクレームを叩きつけてもらうことはできるのかもしれない。そしてこの施設は明らかにレベルは低い。・・・でも、当の本人はそこが気に入って、行くことを嫌がってはいないのです。ケガをするのは勘弁してほしい。でもそれを除けば、家族や周りの人間の不満よりも本人が満足できる方法を選びたい・・・それは野次馬的な自分たちにはわからない、家族ならではの悩みだと思いました。
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