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本当の心電図所見

数年前、たまたま救急外来に用事があって行ったら、これから緊急手術になるという救急患者さんの心電図がありました。うちの病院ではそれを一度循環器内科医が確認してサインするのが習慣です。担当の循環器内科医は違う急患さんに対応中でしたので、気を利かせてわたしが読んであげました。

<完全右脚ブロック、手術可能>

そしたら、それを後ろから見ていた若い先生が声をかけました。「先生、ちょっと良いですか?」・・・春からうちの病院に来はじめた研修医の先生だそうです。「この心電図は本当に『完全右脚ブロック』でいいんですか?このQRS幅とRSR'のノッチの形が・・・これは定義にあてはまらないのではないのでしょうか?」

彼は心電図診断の定義について述べ始めました。面倒くさいなあと思いながら、ちょっとタジタジしながら、それでもできるだけ平静を装って答えました。「そうそう。正式に云ったらこれは『心室内伝導障害』でしょうね。でも、それじゃあもらった相手が何のことか分からないでしょ?『伝導障害があって、それが左脚ブロックパターンじゃなくて右脚ブロックパターンであり、だから心機能に問題がなさそうだということを伝えれば、救急の現場ではそれで十分なんだよね。かえって幅が広すぎる『心室内伝導障害』の表現をするより臨床現場では親切だと思うよ。」・・・半分本音、半分ハッタリの返事をして応答を待ちました。ちょっと不服げでしたがとりあえず彼は反論をしなかったので、さっさとER室を退散しました。いらんことするもんじゃないね。

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