デジタルの落とし穴
「これだけ毎日運動をして5kg以上痩せたのに、内臓脂肪が増えているなんて、絶対おかしいですよ!」
うちの健診センターの生活習慣病改善のプログラム会員さんは、3ヶ月ごとに腹部の内臓脂肪CT検査を受けることができます。先日、ある女性会員さんが3ヶ月めの検査を受けましたが、その結果をみて、指導に当たっていたスタッフが検査結果に疑問を抱きました。3ヶ月前のCTと明らかに形が違うというのです。しかも開始前に73cm2だった内臓脂肪面積が107cm2に増加しているのです。結局、数日後にもう一度CT検査のし直しをしましたら、72cm2でした。・・・これで、みなさんは納得したようです。でも、どっちにしても全然減っていませんけどいいんでしょうか?
実は、たぶんどっちの結果も間違いではないと思います。彼女が運動をして体重が減ったことは事実です。腹囲も6cmも縮んでいます。何が変わったかというと、一目瞭然です。皮下脂肪が200cm2から150cm2に減っていました(取り直した画像では164cm2)。わたしには今回の2回のCTはどちらもほとんど同じに見えます。CTは臍の高さの1断面です。だから息止めのタイミングや腸管の位置関係で残念ながら簡単に数値は変わってしまいます。また、CT検査の絵はCT値というもので決まります。そこに筋肉の絵があるのではなく、筋肉に相当するCT値の部分を「筋肉だろう」と想定する、脂肪に相当するCT値の部分を「脂肪だろう」と想定する。つまり、そこに脂肪として色付けられている部分が本当に脂肪とは限らないのです。
良く理解できないかもしれませんが、つまり107cm2も72cm2も同じなのです。デジタル表示された数字は妙に一人歩きしがちですが、そんなものなのです。この女性の3ヶ月間の事実は、単純に「内臓脂肪量は変わらずに皮下脂肪量が劇的に減った」ということ。それでいいじゃないんでしょうか?数字にあまり目くじら立てませんように。
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