日本語の誤解
健診の日常業務で受診者の診察をする際に、問診をしたナースから検査に対する医師の指示依頼書が添付されることがあります。
「妊娠中 甲状腺機能低下あり 胃内視鏡検査で注射薬を使用して良いか指示ください」
その書類にはそう書いてありました。部屋に入ってきたのは、38歳の女性です。ハタと困りました。「婦人科じゃないんだから、妊婦に薬を使っていいかなんておれには判断出来ないぞ!」・・・内心焦りながら、診察をしました。甲状腺を触診しながら、「甲状腺ホルモンは内服しなくても大丈夫なのですか?」と質問しました。甲状腺機能が一定以上低下しているならば甲状腺ホルモンを補充するのが常だからです。ところが、その女性からは意外な返事が返ってきました。
「いいえ。妊娠した時だけ甲状腺機能低下症だと診断されましたけど、今は正常だそうです。」「え?今は妊娠中ではないのですか?」「いいえ、妊娠はしていません。」
やっとすべてが分かりました。ナースのメモは、「妊娠中(に)甲状腺機能低下症(になったこと)あり」という意味だったのですね。そういう気持ちで読んだら、なんら矛盾しない普通の日本語でした。思い込みは本当に怖いものです。今回は、逆方向の思い込みでなくて良かったと思いました。
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コメント
こんにちは、いーちゃんの教え子の、あやのです。
木下君よりココのことを教えてもらいまして、こちらに書き込ませて頂いております。
クリニクラウン、いいですよね♪。私に出来るかどうかなんて分からないけれど…楽しそう。保育士は私の天職だと思っているけれど、同じくらいひかれています。
芝居、やりたい気持ちはあるのですが……なかなか。
なにもかも『気持ち』ばかりで、気付けば《アラフォー》と呼ばれる世代に片足が!。
さて、日本語についてですが、難しいですよね。私は言葉が好きで、でも使うのが下手で、足りなかったり過ぎたりで、反省ばかりです(*_*)。
投稿: あやの | 2009年9月 4日 (金) 22時08分
あやのさん
わざわざこちらに来ていただいて恐縮です。
歳とともにフットワークはどんどん重くなりますが、時々ふっと(シャレじゃありません)妙に軽くなる瞬間があります。私はとりあえずそんな時は飛び跳ねることにしています。
言葉は、特に日本語は難しいですが、使ってなんぼだと思います。だからこのブログも始めてみました。
また機会がありましたら是非お越しください。
投稿: ジャイ | 2009年9月 4日 (金) 23時44分