ボスのメモ
休憩室でナースが話しているのを、弁当を食べながら聴くでもなく聴いていました。
学会の発表原稿のチェックを上司にお願いしたらいくつか訂正の指示が返ってきた。帰ってから訂正しようとしたら、どこだったかわからなくなったので全然違うところを変えてしまった。でも、上司の方もどこの訂正を指示したか良く覚えていなかったらしく、結局そのまま合格になった。
というものです。聴きながら、先日13回忌を迎えたわたしの元上司のことを思い出しました。忙しい職場でしたが学会活動も盛んで、大きな学会に毎年各自必ず2演題以上を出すのがルーチンでした。ボスとその打ち合わせをするのはいつも早朝です。7時からのカンファレンスの前なので5時半ころに約束をさせられたりしました。
今回はどんなテーマにする?どうアプローチする?こういうのはどうかと思うんだけど・・・「アイデアが勝手に湧き出てくるんだ」と云っていた彼らしく、研究テーマのアイデアは次々と出されてきました。彼の最大の特徴は、具体的に話し合いながら自らの考えをまとめていくかのように事細かに原稿用紙にメモをすることでした。目的や対象、その方法、そしてこれからのスケジュールなど・・・この限られた時間の中でそんな細かいことまで書かなくても、と思うようなレベルまで書きました。そして最後に「1部コピーしてボクに頂戴」と云って、その数ページに及ぶ厚いメモを渡してくれるのです。
ところがこのメモがすぐに本領発揮しはじめます。いざ始めようとしたとき、「さて何を何のためにするんだったか?」ちょっと不安になります。なにしろ似通った内容の研究を同時進行で複数進めていくのです。そんなときにこのボスの書いたメモを読み直します。即座にスッキリと頭の中が整理されます。ときどき行う中間報告のときにもそのメモを基に話しますので、冒頭に書いたナースのようなことは起きません。
彼のあの手書きメモこそが、わたしたちの学会発表の原動力になっていました。
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