« 鎌田先生インタビュー | トップページ | 早食い »

必要とされる。

昨日紹介した<鎌田實先生のインタビュー>の中に、

「東京に帰ろうと思ったことも何度もありました。でも、ある末期ガンのおじいちゃんに、『先生、東京に帰るって噂があるけど、俺を看取ってからにしてくれよ』って言われてね。すごく嬉しかったんですよ。自分を必要としてくれる人間がいるってことが。しょうがない、もう1年いるかって思ってるうちに35年経っちゃった。だからそんなに立派じゃないの。揺れて揺れての35年ですからね」という件(くだり)があります。

きっと医者冥利につきる話だと思います。わたしも、ある山奥の病院で「先生がまた来たってうわさを聞いたから久しぶりに来てみたよ!」と云ってくれた患者さんがいて嬉しかったことを思い出しました。でも同時に、当時のとても苦しかった想いも思い出してしまいました。当時のわたしは何度も地方の病院へ出向に出されていました。ほぼ半年ごとに、半年~1年の期間で出向くわけですから、自分の病院に勤務する期間より他の病院に勤務する期間の方がはるかに多くなりました。地方の病院で全人的な医療をやっていくことは自分に向いているなと感じていましたので、そのこと自体には何ら不満はありませんでしたが、ただ、引っかかることがありました。数多くいる同僚の中で私がそうやって出向医師によく抜擢された理由は、「他に行けるひとが居ないから」というだけのことでした。○先生と△先生はあの仕事があるから抜けられないし、●先生は今子どもさんが受験で大変だし・・・。「わかりました。確かにわたししかいませんね。」・・・優等生な笑顔の受け答えをしながら、「つまり、わたしはこの組織にとって必要不可欠な駒ではないということだな」という思いが、出向の度に強くなっていきました。それが前の部署を辞めた最大のきっかけになりましたし、そのころからわたしのウツ周期が始まりだしたのではなかったかという気がします。

まあ今はただの思い出ですが、誰にも胸のうちを明かすこともできずに地方病院の宿舎で悶々としていた時期のことを、つい思い出してしまいました。

|

« 鎌田先生インタビュー | トップページ | 早食い »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 鎌田先生インタビュー | トップページ | 早食い »