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プライドを砕くごとし

「何やってんだよ!」「おまえは給料泥棒か!」・・・若いころ、とんがりまくっていたわたしはよく仕事中に吠えていました。

それは当たり前だろう!だって、きちんと仕事をしていないのだから・・・。救急の現場で、気を抜いたことをしていたら直接命に関わる事態を起しかねないのだから・・・。怒りを露(あらわ)にして吐き捨てたあと、わたしはイライラしながらその場を立ち去るのでした。たしかに注意を受けた方が悪いのかもしれません。ちゃんとやるべきことをやっていないから叱られてもしょうがないのかもしれません。でも、たとえ自分の過ちを棚に上げたとしても、彼らがこれを<ハラスメント>と感じた時点から、これは<いじめ>になるのです。この思いの違いが大きな壁になって、問題を大きくさせるのだということに、やっと最近気付いてきました。

それは、<正義>という名を楯にして、相手の<プライド>をズタズタに砕く作業なのです。怒りまくって去っていったわたしと、言い訳もさせてもらえないままにカラダもココロもひとり取り残されてしまう相手と、そのどちらにも何も良いことはない殺伐とした空間が出来るのです。

いま、いろいろな組織の中で、若いリーダーがちょうど昔の私のような厳しい態度をスタッフに向かってしているのを傍から眺めながら、そんなプライドを砕く仕打ちが本当に良かったのだろうか?と、自分の過去に自問自答している今日この頃です。

「相手に逃げ道を作ってあげてほしい」・・・わたしの尊敬する元ボスがそう云っていた意味が、本当に分かるようになってきました。

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