強いくすり
「くすりを飲み始めたら止められないというので、飲まない方がいいと思って・・・」
なんと、昨日3回も同じことを聞かれたのでお書きします。本当にくすりを飲みたくない理由がそれだとしたら、愚の骨頂です。「飲み始めたら止められない」人は、早く飲まないと危ない人です。「止められる」人は、早くからちゃんと飲み始めて治療がうまくいった人です。遅くに始めて「止められる」人はたぶん誰もいないでしょう。もちろん、ギリギリまで引っ張って「もうダメ!」というレベルから飲み始めたのなら止められるはずはなく、むしろかなり濃厚なくすりの使い方を余儀なくされます。飲む必要のないときに飲まなくてもいいけれど、飲むべきときを逸しないようにするのが、毒物である「くすり」のつき合い方の基本だと思います。
さて、高血圧のくすりなどで、よく「これは割と軽いくすりです」とか「強いくすりです」とか云います。「最近くすりを飲み始めました。先生が『これは一番軽いくすりです』というので飲んでみています」という人がいます。もちろん先生が本当にそう云ったのだと思いますが、でも最近はこの考え方はあまりしなくなりました。「強いくすり」はあまり存在しなくなったのです(もちろん何をもって「強い」というのかは分かりませんが)。急激に血圧を下げることはあまり良いことではないということが分かってきました。だから血圧はゆっくりと下げたり、血圧を下げること自体よりも動脈硬化を改善させたり腎機能や心機能を良くしたりする効果のあるくすりが現在の主流です。ある意味、最近はどのくすりも「軽いくすり」なのです。
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