わが国での知見
第68回日本癌学会で、「肥満とがんとその予防:アジアのエビデンス」というシンポジウムが行われたという記事を、先日ある医療雑誌で読みました。
いわゆる疫学研究や、あるいは生活習慣病の予防に○○は効果があるとかないとかいうこの手の研究の最大のネックは、「人種」だと思います。くだんのシンポジウムが開かれた理由も、肥満と発がんに関する研究結果が欧米からはよく報告されているが日本やアジアからはあまりない、という事実にあったのだそうで、アジア(特に日本)には欧米と同じような因果関係が云えるのか云えないのか、そこを議論し合うのが目的だった、と書かれておりました。
とても大切なことだと思います。○○はがんに効果がある、△は心筋梗塞による死亡率を高める、などなどの報告が欧米から次々に発表されるたびに、わが国のマスコミは大騒動します。ちょっと騒ぎすぎではないかといつも眉を顰(ひそ)めます。特に生活習慣病に関する疫学調査は、アメリカ人の結果が出たところで、そのまま日本に通用するとは到底思えません。体格も背景になる遺伝体質も生活習慣も全く違う国の結果は、同じ人間だというだけのことでほとんど別の星の生き物の報告でしかない、とわたしは考えています。日本あるいはアジアのデータを欧米の報告より蔑視する人が居ます。アメリカからの報告とベトナムからの報告が正反対だったら、アメリカを信用する人。でももしかしたら、それは単なる人種の差だけの問題かもしれません。ですから、日本で発表されている久山町研究(2009.9.13)やNIPPON DATA(2009.9.14)などはとても貴重なデータなのです。
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