アスリートにとっての「運動」
「むかしは選手として国体にも出たことがあるのですが、今は運動を何もしていません」
こういう云い方をする元アスリートの方がたくさんいます。おかげで大きな体になってしまった人もいれば、ほとんど変わらない体型の人もいます。総じて云えることは、彼らは「運動」に対する考え方が厳しすぎます。というか、思い込んでいる「運動」の定義がきっと間違っています。彼らはヘトヘトになるまで汗だくでカラダを苛める肉体運動をして、初めて「運動をした」という実感に満足するようですが、わたしたちはそんな激しいモノを求めていません。
メタボ対策のために推奨されている「健康づくりのための運動指針2006」によると、「運動(exercise)」とは「健康増進や体力向上など意図を持って余暇時間に行うレジャー・スポーツ」と定義されています。楽しむものが「運動」ですのでもっと気軽なモノです。さらに「日常生活を営む上で必要な労働や家事に伴う身体活動」のことを「生活活動」といい、この「生活活動」と「運動」を合わせて「身体活動」ということにしています。メタボ対策では、この「身体活動」の量を一定以上増やせばいいのです。ゴロゴロしなければいいのだから、階段を昇るのも、コピー室まで歩いていくのも、あるいは背筋を伸ばしてパソコンを打つのも、どれも立派な身体活動といえます。
現代人は、実は「運動量」は特に減っていません。むしろ前より増えているそうです。ただ「生活活動」が極端に減っています。スポーツジムやプールでガンガン運動するけど、帰ってきたら後はソファに横になって一日中テレビを見ている、という人はいませんか。・・・意図的にゴロゴロしない生活をする、そのことの方が定期的に運動をすることよりもはるかに大変なことで、これは元アスリートも同じようです。
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コメント
運動は必要だけれど、そのために割く時間はないので、たとえば立っている時に身体をくねらせたり、犬と歩く時は少し大幅で歩くとか、台所で何かする時は爪先立ちを繰り返すとか、階段を上がる時は爪先中心の動きをしたりしています。ぼくにとっての運動は何かのついでのプラス余計なことなんです。ドクターのお墨付きをもらえました、か、・・・?
投稿: イーダです | 2009年12月 7日 (月) 18時20分
イーダ先生の場合は、毎朝ワンちゃんと一緒に季節の変化を愛で常に自然と会話しながら歩いているのですからそれ以上のことはございません。羨ましい限りです。「健康のために運動をする」というのを私はあまり薦めていません。動機が不謹慎だからです。でも運動をしないと歳をとってしまうので、どうやったら<無駄に動けるか>を日々研究しております。
投稿: ジャイ | 2009年12月 7日 (月) 21時19分