よい医者(後編)
わたしは<技術=デジタル、人格(人柄)=アナログ>と考えています。
「医療の標準化」という言葉に化けて、いかに科学としての質の向上ができるかを追求するあまり、アナログ(人間性)を疎かにしてもやむを得ないと考える時代はもう終わろうとしていると思いたいところです。若い医師が早く一人前の医師としての技量を磨きたいと思い、より医療レベルの高い研修をしたいという気持ちは良く分かります。自分のことを思い出しても、自分の技術が身につかないと医師としての自信は生まれないものです。ただ、自分が医者になろうと志したとき、「いい医者」になりたいと考えたであろう「いい医者」のモデルはどんな医者だったのか?忙しくて寝る時間もない日々の中で、それを見失わないでほしいと願わずにはおれません。世間の多くが求めているものは、スマートなデジタルドクターであるよりも人間くさいアナログドクターであることを忘れないでほしいと思います。
「きょうは先生のとてもわかり易い説明を聞けて良かったです。何か頑張れるような気がしてきました。」「先生に会えて本当にうれしかったです。ありがとうございました。」
・・・ときどきではありますが、帰り際にそう云ってもらえることがあります。「感動していただくのはありがたいですが、分かった気分になるだけでは行動に移れません。絶対今日何かを変えてくださいよ!」・・・わたしは平静を装ってそんなイケズなことを云いますが、受診者の方からそんな言葉をいただくのは本当は涙が出るほどうれしいことです。そんなことに感動できる医者でもあってほしいと思います。
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