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木がかわいそう。

先日、伯父の一周忌に行きました。外の沁みるような寒さとは裏腹に穏やかな陽射しをたっぷりと受ける縁側のまどろみの中で、おば(故人の妻)と2時間ほどゆっくりと世間話をしました。大きな旧家のそのお宅の縁側からは広い庭が見えます。

その庭の中央にある松の木を眺めながら、「あなたのお父さんは良くここの庭木の剪定をしてくれたのよ。うちの夫は何でもかんでも丸裸に切ってしまうからね、お父さんが来て『かわいそうだ。そんなに切ったら木がかわいそうだ』って云うのよ。今年は上半分、来年が下半分、そういう風にして枝を残してあげないと『かわいそうだ』って。何度も何度も『かわいそうだ、かわいそうだ』って云ってたのよ。」とおばが云いました。

あの父の口からそんなことばが出たのは、とても意外でした。わたしもどちらかというと伯父さん型で、<鬱陶しい>と思ってバシバシ切り落とす口です。昨年の冬に初めて庭師さんに入ってもらいました。夏の前にお願いしたら「今頃刈ったらダメですよ。植物は夏に生い茂るのが当たり前なんですから」と窘(たしな)められました。

本来あるべき自然の姿と自分たちが鑑賞するに堪えられる姿との板ばさみの中で、生きとし生けるものを慈しむこころがないといけないんだなと思いつつ、わたしは夏の間隣りのお宅まで入り込んで茂っているうちの庭の梅の木の茂みに近づくのがとても負目でした。

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