健やか加齢
先日、第38回日本総合健診学会に行ってきました。
最近はメイン会場に居座って特別講演やシンポジウムを聴くことが多くなりました。ただ、今回はあまり新しい感動はありませんでした。内容が陳腐だったというのではなく、彼らが示してくれたスライドの多くは、<変わり者>で<ワサモノ>のわたしの中ではすでに理解し終わっていた知識だったからです。
健診学会や人間ドック学会に行くと、心が休まります。自分の求めている健診医像が間違っていないことを確認できるからです。病気の早期発見ではなく、病気にならない体作り、さらに未病状態での人間らしい健康づくり~従来「医療者の仕事」ではないと思われていたそんなことを率先して行うのが今の健診であるということを、世間はまだあまり認識していないと感じています。正常高域の血圧を至適血圧に下げるために努力することよりも早期がんを発見する方がはるかに大事だと、多くの医療者や受診者が思っています。それがもどかしくてたまらないのですが、学会の中に身を置くと、「自分の考え方で良いんだ」と安堵できるのです。
今回は「高齢者の健康」がテーマでした。当たり前ですが、ご高齢の方ほど健康づくりに一生懸命です。でもかえってそれでカラダを壊していく人が居ます。年配の女性はやせない方がいい、コレステロールの値をあまり気にしない方がいい~日々の食事や運動のポイントと目標が若い人たちとは全く違うにもかかわらず、検査の「基準値」は同じです。歳をとればとるほどに「健康」の定義が変わっていくことを、ご本人もアドバイスする医療者もきちんとわきまえなければなりません。老いに対する不安-高齢者特有のメンタルフォローはちゃんとできているだろうか?・・・反省の良い機会になりました。
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