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よい医者(前編)

ときどき病棟で働いている夢を見ます。ナースセンターの棚には受け持ち患者さんのカルテがずらっと並んでいますが、知らない名前がいくつかあります。ナースに聞くともう入院して何日も経つと云います。そういえば最近回診をした記憶がありません。「忙しいからなあ。夕方に一回顔を出すか。でもずっと行ってないから顔を合わせたくないなあ。」などと思っていると、目が覚めます。自分のいや~な人間性を見た気がして、しばらく気分が晴れません。

鎌田實先生の「言葉で治療する」(朝日新聞出版)に、がん患者の会「どんぐりの会」でがんで亡くなった患者さんの遺族に行ったアンケート調査のことがありました。それによると、主治医の良い点の1番は「毎日病室を訪問してくれる」で、2番が「よく説明してくれる」だったそうです。少なくとも家族は、腕が良いとか有名だとかいうことに大した意味はなかったと思っていることがわかります。

「よい病院」「腕のよい医者のいる病院」などの本や特集が氾濫しています。藁にもすがりたい気持ちの患者さんやご家族はこんな情報をみて受診を決心するのでしょう。でも「やさしくて、親身になって一緒に考えてくれて、いつもベッドサイドに居てくれる主治医がいる」・・・多くが求めているそんな理想の主治医が居るかどうかを教えてはくれません。くだんの特集に「評判の良い医者が多い病院」というのをみたことはありません。病院の人事考課の場でも、「患者の評判」に重きを置いた給料査定をする病院がどれだけあるでしょうか。腕の良さや手術件数で「医療の質」を語る時代からそろそろ卒業しても良いころではないかと思います。そうでないと、若い医者たちがただ忙しさに潰されて人間らしい医療の意義を感じられなくなる気がして心配です。

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