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必ず解ける。

それは、年末にいつになくしっかりした大掃除をしている最中でした。デジタルTVの大画面の裏でこんがらがった電気コードの整理にひとりで悶絶していたとき、ふと大学時代のことを思い出しました。

演劇部員だった大学時代、よく電気コードの配線や撤収作業をしました。学内でやる自前の芝居公演も然(しか)り、学園祭や学内の音楽イベント(コンサートやダンスパーティ)も然り。小さな劇団ですのでもちろん役者だけやっていたわけではありません。無数の電気コードを巻き取っているとき、端から巻いていくうちに必ずと云っていいほど電気コードの絡まりに遭遇します。超だご(だんご)状態のそれを目の前にして、ただただ途方にくれるのが常でした。とにかく疲れているのです。さっさと終わらせて帰りたいのです。あるいは早く済ませて打ち上げに参加したいのです。そこに立ちふさがる<だご>の塊に向かって、もちろんわたしはトライをするのです。だんだんイライラしてきて、「んんんんんんー!」と叫びたくなり、癇癪を起した挙句に乱暴に扱って、必ず絶望感に苛まれるのです。

そんなとき、ある先輩がやってきて、ゆっくりとその呪縛を解いていきました。「元が別々なものは、焦りさえしなければ必ず解けるよ。」・・・事もなげにそういいながら、彼は一本ずつ手繰り寄せて地道にはずしていくのです。複雑な<だご>はすぐに単純なものの集まりに変わり、彼が扱ったら何事もなかったように仕事は終わるのでした。絡み合った日常で問題を起したとき、この先輩がいうように、ひとつひとつ順番に解決させていけば、そしてとにかく焦らなければ、必ず最後には解けていくものなのだという摂理を、わたしは大学2年の夏に初めて教わりました。

あの先輩は、今頃何をしているのでしょうかしら。

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