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「言葉で治療する」

学会のために上京したとき、やっと読み終えることができました・・・「言葉で治療する」(鎌田實 朝日新聞出版)・・・飛行機の中で泣き、ホテルでひとり嗚咽しました。最近、<泣くこと>が気にならなくなりました。悲しくて泣くのではないからだと思います。

でも、書いてある内容は悲しい現実ばかりでした。「医者選びに失敗した!」などと吐き捨てる気持ちはどんなに辛いものなのだろう。書いてあることは本当なんだろうか?世間では本当に医療者の言葉がこんなに冷酷で荒んでいるのだろうか?真意がきちんと伝わらなかったとか患者さんのひとりよがりな勘違いとかではなくて、本当にこんなひどいことを云う医者が存在するのだろうか?どうしてもわたしには信じられない投稿が続いていました。医者というよりも社会人としてありえないことばかり・・・。

でもそれに匹敵するほどの数のあたたかい言葉があったことに感動し涙しました。励ましや親身になったほんのひとことが患者さんやご家族にはどれだけの癒しになり救いになるか計り知れません。荒んだ言葉の羅列の隙間に記されたあたたかい言葉だから読んでいて感動し同感するのだけれど、普通の社会人であれば当たり前の言葉がもっと普通に溢れていて当たり前なのに・・・と思うと、暗い気持ちになります。

たしかに、自分の気にも留めなかった一言で、話していた相手の表情が急変して驚くことがあります。「何を怒ってるの?」と面食らうことがある一方で、突然感動してくれることもあります。自分に心当たりがないだけに対処に困ります。わたしたち医療者はどうしても上の立場になりがちです。よほど自分の言葉のひとつひとつに意識を持たないといけないのだ、ということを胆に命じたいと思いました。

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コメント

 はじめまして。私も「ニンジンから宇宙へ」の愛読者です。松本で赤峰さんの講演会を聞き感動し、「くりもと地球村」の百姓塾に二回も参加してしまいました。それ以来一日二食、玄米菜食を実践してます。
 私のすすめで赤峰さんの講演会を聞いた実家の両親は循環農法による家庭菜園をはじめました。
 ちなみに看護学生だったんですが、狂員と成績に目が眩んだその子分の学生のいじめに会い、鬱病で退学。現在、療養&求職中です。
 正直、医療従事者は言葉遣いが悪く、人間性に問題がある人が多過ぎます。信用できる医者や看護師を探す方がたいへんです。

投稿: コン | 2010年7月18日 (日) 13時31分

コンさん

コメントをありがとうございます。
赤峰さんとは、同郷なのに実は私は直接面識がありませんが、本当に情熱的で魅力的ですよね。

「先生は医者なのにこんなことに興味があるなんてめずらしい」という言い方を良くされます。やむを得ず「私は変わり者ですから」と答えることにしていますが、それほどに、医療従事者は凝り固まった偏屈者に思われているのかなあ、と思うとちょっと悲しいです。

不思議なことに、私の長い医者人生で関わってきた人達(医者に限らず社会人のすべてですが)には、「人間性に問題がある」と思う人がほとんど居ませんでしたので、コンさんのような経験がある方を話を聞くととても悲しくなります。私が幸せ者なのでしょうか?そういう人達は、私のことを面倒くさがるのか?それとも、私自身がそういう仕打ちに気付けなかっただけなのか?

きっと、コンさんにも信用できると思える人に出会えると信じます。

投稿: ジャイ | 2010年7月19日 (月) 23時02分

コメントありがとうございます。
 看護学校の災難の御蔭で自分の心の問題に気がつきました。また不思議なご縁でホメオパシーという代替医療に出会い、現在治療中です。
 自分では鍼灸の学校に通い、東洋医学を勉強しています。それまで現代医学一辺倒だった自分は目から鱗が落ちる思いです。
 ジャイさんのような変わり者? の良心的なお医者さんがいると救われる気がします。これからも頑張って下さい。

投稿: コン | 2010年7月22日 (木) 10時52分

コンさん

東京に居たころの同僚に、ご夫婦で開業したあとホメオパシーを積極的に医療に取り入れている人がいます。年賀状には「ホメオパシーは奥が深くて難しいけれど、なかなか良い!」と手応えを感じているコメントがよく書かれていました。

わたしは「代替」ということばがキライです。「一体何が主で何が従だと云いたいのか?」と熱く吠えた時期もありました。ご縁で東洋医学の世界を知れたのは幸せなことですね。わたしは「凹の医療と凸の医療」という言い方をします(「叩くと埋める:凸と凹の医療」2008.10.16)が、カラダ全体を眺める考え方はやはり東洋医学の方が長けている気がします。西洋医学の良いところと東洋医学の良いところをきちんと見極めてうまく両方を活かせたらいいのにと思います(わたしは深く立ち入ったものがないので偉そうなことは何も云えませんが)。

わたしの尊敬するある御仁は、コンさんのような人生を「宿命」と云います。学校時代の災難も今のご縁も今のコンさんになるための宿命的なご縁・・・やっぱり、わたしは変人ですわ(笑)。

投稿: ジャイ | 2010年7月22日 (木) 20時53分

 実は私も「代替」という言葉は嫌いなんです(笑)。ジャイさんからそうゆうコメントが返って来たので安心しました。
 「代替」と訳されている「オルタナティヴ・メディスン」のホントの意味は「支配的な価値観に対する」という意味らしいです。
 「宿命」ですか。私など赤峰さんや「奇跡のリンゴ」の木村さんの苦労には及びも尽きませんが、たしかに人間にはそういったものがあると思います。要はそれに気がついて日々精進しているかどうか、なのかも知れません。
暑い日が続きます。現代の「赤ひげ先生」、御自愛ください。

投稿: コン | 2010年7月22日 (木) 22時42分

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