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主治医の携帯電話

諏訪中央病院の緩和ケアの医師が学会出張するときには自分の携帯番号を患者さんの家族に教えることがある、と「言葉で治療する」に書かれていました。それは「安心」を与えることができるから~実際にはしょっちゅう電話がかかることはほとんどなく、ただいつでも見てもらっているという安心感を持ってもらうことが大事なんだ、と。

先日、親せきの法事に行ったときに同じ話を聞きました。おととし、わたしと同い年のいとこが末期の大腸がんになりました。手術はしましたが残念ながらすぐに再発し、最後は在宅の緩和ケアを受けることになりました。ご縁があって担当になってくれた主治医は、まず携帯の番号を家族に教えました。「何かあったらいつでも連絡してください」と。
「先生も大変ですね。プライベートの携帯番号なんか教えたら休まる時がないでしょう?」と患者の兄が素直な感想を告げたら、先生は笑いながら「結局は人間関係なんです。きちんと日頃から十分なコミュニケーションが取れていたら信頼関係ができてるからそう簡単に電話はかかって来ません。いつでもつなげられるという安心感を持ってもらうためのツールなんです」と答えたそうです。たしかに、彼女が家族に囲まれて静かに人生の幕を閉じるまで、先生の携帯電話をかけたことはなかったそうです。それは、日頃から訪問するナースがこと細かに指示をしてくれたからだと兄は云っていました。こういうことがあったらまずこうしてあげると楽になる。こういう訴えが出たらこの処置をしてあげるといいかもしれない・・・医療者の目ではなく患者や家族の目からみた指示をしてくれたのです。先生の考え方がすばらしいというだけでなく、スタッフ全員が身内のように見守ってくれているという安心感。本当にいいご縁をいただいたんだなと思いました。

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コメント

私の場合もわりと簡単に個人携帯の番号がついた名刺をお渡しします。
在宅の場合、ある意味“最後のライフライン”ですから、不可欠です。
かかってくることは非常に稀で通常は訪問看護師の当番携帯にかかってきます。また、クリニックの患者様にも必要な場合(日曜日の午前中とか:薬剤の効果判定や経過観察でこちらから指定するのですが)携帯に連絡を頂いています。最初の頃は、スタッフから『大丈夫ですか?そんなに簡単に番号教えて・・・』と言われていましたが、通常大丈夫です。
私の場合、番号に未練がないので困る時は変えれば良いと思っています。
一度だけ、インフルエンザの中学生の子供をもったお母様から朝の2時と6時に電話があり、さすがに閉口しましたがそれくらいです(熱があるので心配とのことでした)。
一般に、個人携帯をお教えすると皆様安心されます。
逆に緊急検査の結果も、その方の携帯にご連絡することが多いのですが、喜ばれます。
携帯は、信頼の架け橋・・・CMですね  confident

投稿: Haruch | 2010年2月 2日 (火) 00時59分

Haruchさん

やはりそうでしょうね。開業されている先生方にとっては当たり前のことかもしれません。昔に比べたら携帯電話というツールは迷惑なようで有難い心の支えになるツールなのでしょう。ご苦労様です。私たちには受け持ちがありませんが受診者の方に教えている先生もおられます。一応基本は職場用の携帯を当番が持ち歩くことになっていますが・・・。

投稿: ジャイ | 2010年2月 2日 (火) 06時32分

以前、訪問看護ステーションの管理者をしていました。殆ど毎日、緊急用携帯電話を持ち歩いていましたよ。携帯電話に関しては、主治医の先生方の知らない数々のエピソードがあります。
黒電話をずっと使いい続けていたある高齢者の方は、携帯電話の長い番号をなかなか最後まで回せなくて、ずっと電話ができず、、、やっと、回せるようになったら本当につながるのか心配で、今度は何度も電話をしてきたり。。。息子と二人暮らしの寝たきり老婦人は、息子と喧嘩をするたびに「心臓が痛むの。私はこのまま死にます。」と電話をかけてきたり。。。やはり、寝たきりの老婦人、「右足をおいている位置が悪いので、足の向きを換えに来てください。」と明け方3時ころに電話をかけてきたり。。。「具合が悪いのだけど、この程度で先生に電話してもいいかしら?」という相談の電話もありました。


主治医の携帯電話に連絡が入る前のドラマ?かな~。


投稿: Ulala | 2010年2月 3日 (水) 00時13分

Ulalaさん

私のゴルフ仲間の訪問看護管理者もいつも携帯電話をいくつも抱えてゴルフをしております。

基本的に患者さんはナースには何でも気軽に電話できるみたいですね。自分の娘みたいな感覚かしら。「こんなこと先生様には言えんけど、あんたはちゃんと答えてくれるでしょ」みたいな。

そんな苦労があってこそ今の介護医療の世界は成り立っているのだと思います。感謝感謝です。

投稿: ジャイ | 2010年2月 3日 (水) 01時22分

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