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テロミアの短縮

今日はちょっとだけむずかしい、でもちょっと夢のあるお話です。

テロミアと酵素のテロミラーゼは、染色体末端にあってDNAを損傷から保護する仕事をしており、細胞分裂のたびに短縮するので、これによって細胞分裂の回数が制限されるしくみになっています。つまりテロミアは「生物学的時計」で、細胞分裂のたびに徐々に短縮する状態が<細胞の老化>であり、限界に達すると<細胞死>、これで<寿命>が決定されることになります。

この研究が進む中で、アンチエイジングにおけるテロミアとの関連がいくつか報告されるようになりました。たとえば運動との関連:一般にプロスポーツ選手のテロミアは長く、これを定期的に運動しない健常人(非喫煙)と比べてみると、運動選手の方が明らかにテロミラーゼが活性化してテロミア短縮を抑えることがわかりました。「運動に老化予防の効果がある」ということの証明になります(Circulation 2009;120:2438-2447)。

あるいは脂肪酸との関連:魚由来のω-3脂肪酸がテロミア短縮を抑制できる可能性も別の医学誌で報告されました(JAMA 2010;303:250-257)。これによると、冠動脈疾患の患者さんにドコヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)を食べさせて6年間追跡しているのです。するとDHAやEPAをたくさん食べた人の方が白血球のテロミア長の短縮率が小さくて済んだというものです。

これからは、テロミア関連の研究・報告がもっともっと多くなるだろうと察します。

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