マニュアルの弊害
先日、外来から問い合わせがありました。
「健診と外来の取り決め表によると、『心電図異常』で二次検査をするときには○と●と△との検査をすることになっていますが、健診からの予約の時にそれに従っていないことが多いようです。なぜでしょうか?」
「・・・わたしがこの部署に来て8年、一度もそんな取り決めをしたことはないし、第一、『心電図異常』にはいろいろなものがあるのに一律に同じ検査をオーダーするはずがありません。受診者さんにムダな検査やムダな支払いをさせるわけにはいきません。」
「でも、この表によると・・・」
「だから、その表が間違ってるんでしょ?それを書いた人は誰?」
「さあ。当時の担当者はもういないので・・・。」
また違う日に、「ブルガダ型心電図波形」で精密検査依頼票を出す人にだけ同封する説明書が<経過観察>対象者に送られるトラブルがありました。なぜ精密検査が必要かを書いてある文書を精密検査指示を受けていない人に送られたのですから明らかなミスです。ところが、結果報告書送付の手順書(マニュアル)をみると、「ブルガダ型心電図の人には文書を添付する」となっていました。明らかなマニュアルの間違いです。
大きな組織になればなるほど、職員の出入りが多い職場ほど、誰がしても同じことができるようにマニュアルが作られます。内容を確認したらおかしいことぐらいすぐ分かるでしょ?と思うようなマニュアルのミスでも、以前何らかの形でこう決まったのだろうからそれに従うべき・・・そんな威嚇に似た拠り所の顔がマニュアルにはあります。「だって、マニュアルがそうなってるんだもん!」・・・段々と<考える>という作業をしなくなるのがとても怖い気がしました。
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