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タンパク分画

先日、受診者さんからかなり強いクレームをいただきました。

採血検査で「蛋白分画異常」のために<要精査>となり、ある公立病院を受診した。「肝機能異常→内科受診」と印字された精査依頼書は当然のように受付から消化器内科に回され、CT検査などの消化器的な精査が行われて「異常なし」と結論された。「血液のことを調べるように云われた」と云ったら初めて血液内科に紹介され、結局今は免疫グロブリン異常で定期受診している。不親切なこの精査依頼書のために必要もない検査を受けさせられ無駄な時間と金を使わされた。しかも、もし自分が云わなかったら重大な病気が見落とされたかもしれない・・・かいつまんで書くと、そういう訴えです。

もしわたしが外来を担当していたとしたらどうしただろう。精査依頼書をみても何が問題で紹介されたのか実はよくわかりません。肝機能異常と書かれているが、そこには大した異常のないデータが並んでいます。エコー結果に脾臓云々とあるからこれのことだろうか?と思い、とりあえずCTを撮ってみた。想像していたとおり何ら異常はなかった。一体健診は何でこんな人を受診させたのだろう?わたしはきっとそう考えます。

「蛋白分画:異常あり」・・・健診に携わっている人間は「当然これのための精査だろ!」と簡単に考えますが、外来医はそんなことだけのために精査を依頼するとは思っていません。なのに精査依頼書には<肝機能異常→内科受診>とだけ書かれています。・・・これもまたアナログを廃してコンピューター処理だけで済ませようするシステムの欠点でしょう。機械で打ち出された依頼書に手書きで「蛋白分画異常について念のために精査をお願いします」と書いておけばおそらく問題なかったことでしょうに。・・・むかし似たようなことを書いたのを思い出しました(「デジタル時代のアナログ」2008.12.6)。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
健診の“要精査”には時々“うーん、何をみればいいの?”と首をかしげるものもありますが、結局問題は紹介先の診療医にあるのではないでしょうか?
『想像力がたりない』という言い方を私はよくするのですが、医療者にはこういうことが時々(または頻繁に)あります。
我々こそ、アナログなのですから、
もっと想像力が必要ですよね。
考えりゃわかるだろ、医者なんだから・・・そんな乱暴なことはいえませんが。

投稿: Haruch | 2010年2月 7日 (日) 19時52分

Haruchさん

ご意見ありがとうございます。Haruchさんのような医者ばかりだと受診者も幸せなのでしょうが・・・。ただ忙しい臨床医の気持ちも分からないでもありません。先日は高血圧で紹介したのに、心電図だけ再検し「上室性期外収縮→治療不要」という返事をもらいました。「あれ血圧は?」と思いましたが何も触れていませんでした。きっと紹介状の中にあった「上室性期外収縮」という文字が目に入ったんでしょう。紹介状に多くの情報があればあるほど、紹介を受けた外来医はどこが問題なのか判断する余裕がなくなることは確かにあります。舌打ちする姿が見えないわけでもありません。

「考えりゃ分かるだろ!」と内心で思うことがないとは言いませんが、結局は迷惑を受けるのは受診者の皆さんです。ここで医療者がお互いの見解を主張しあうことに受診者の利益はありませんので、何とか見落としのないように工夫できないか考えるのが私たちの使命だと思っております。

投稿: ジャイ | 2010年2月 7日 (日) 21時28分

えーっと…全然次元の違う話しなのですが………教えて下さい。

一昨年受けた、主人の会社の主婦検診の「胃部X線」で『胃体上部後壁隆起』で要精検と出て、初めて胃カメラを飲みました。小さいポリープがいくつかあるけれど、緊急を要さないから、異常を感じたら受診すればよいだろうと言われました。
昨年また主婦検診を受けて、今回も胃部X線で要精検でした。今回は『胃体上部小弯陰影欠損・胃体上部後壁ポリープ疑』と書かれていて、ポリープは分かるけれど、何が欠損なのか解らなくて、結果が届いてから約二ヶ月間放置しています。
この『胃体上部小弯陰影欠損』ってどういう意味ですか?。胃カメラ、受けた方がいいですか?。

投稿: あやの | 2010年2月 7日 (日) 21時41分

あやのさん

ご心配ですね。ちっと長くなるので、明日本文に書いてみます。読んでみてください。

結論は「心配ない」です。

投稿: ジャイ | 2010年2月 7日 (日) 22時01分

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