理系発想
東京の病院では、核医学検査室に勤務していました。患者さんに検査用の放射線医薬品を注射してできた画像を読影するのがわたしの仕事でした。その検査機器が時々トラブルを起こして動かなくなりました。その都度修理のためにやってくるメーカーの若いお兄さんが、頭を下げながら「どうもすみません」と口で云ってはいますが、明らかに「機械だもん、たまには壊れるよ」という心のつぶやきを見て取れました。これは熊本に帰ってきてからも同じでした。心電図やコンピューターのトラブルも同じようにあり、その都度、担当者であるわたしは切れるのでした。
「あなた方は、『器械だからしょうがないだろう』という顔をしているが・・・」
「そんなことはありません。できる限りご迷惑をおかけしないように努力しております。」
「いや、努力していても起きてしまったら終わりでしょ。あなた方機械屋さんは、『壊れたものは直せばよい』という発想が基本的にあるんですよ。でもね、わたしたちは人間を相手にしています。放射線を注射しておきながら機械が壊れたことで検査できないとすると、もちろんこの高価な薬代を請求できませんし、何よりも患者さんはもう一度被曝しなければならないのです。あなた方はそれを全責任を持って補償する気がありますか?」
「いやそれは不可抗力のようなものですから・・・」
理不尽なイチャモンを付けていることは百も承知なのですが、でもどうしても腹のムシが修まらずに良く声を荒げておりました。彼らが判ってくれていればそれで良い・・・でも彼らは明らかに<オフィスのコンピュータが壊れた>と同じ感覚でしか働いていないのだと思います。判れ!というのが無理なのかもしれませんが・・・だからいまだに<理系の発想の人>はキライです!
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