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血管保護のスタチン

「先生、怪しそうな学会に入ってるんですね?大丈夫?やめた方がいいんじゃない?」
・・・同僚の先生からそう云われたのはもう何年も前です。失礼な話です。そのとき『怪しそうな学会』と云われたのが、日本抗加齢医学(アンチ・エイジング医学)会でした。

先日あった熊本生活習慣病研究会で、そんな『怪しい学会』の理事をされている大阪大学の森下竜一先生の「Anti-Aging(抗加齢)から生活習慣病の治療を考える」という題名の講演を聴きました。森下先生は脂質代謝の世界では第一人者の医者のひとりです。

「Hepatic Statin」 vs 「Vascular statin」のお話はとても興味深い内容でした。つまりコレステロール治療薬であるスタチン系薬剤は作用機序によって大きく2種類に分けることができ、血管保護が主な作用である後者は、LDL(悪玉)コレステロールを下げようが下げまいが(低かろうが低くなかろうが)、それを服用することで心筋梗塞や脳卒中になる危険性を有意に低下させ、高齢者の予後改善効果をもたらすというものです。糖尿病患者や高齢者や喫煙者ほどその傾向は顕著にみられるそうです。脳血管系のAnti-Agingを念頭に置くと、血管保護作用のスタチンを服用すると明らかに記憶力がアップし、何とアルツハイマー病の予防効果もあると云います(一旦アルツハイマー病になってからは効果がないのだそうですが)。

これの作用のキーワードは「抗酸化」。実際のメカニズムはよく存じませんが、つまりは血管保護作用のスタチンが持つ強い抗酸化作用が動脈硬化を抑制します。これまでは動脈硬化を抑えるためには「LDLコレステロールをできるだけ下げることがベストだ」と云われてきましたが、動脈硬化を抑えて元気な年寄りになるためにはLDLコレステロールが特段高くなくてもvascular statinを積極的に飲んだ方がいいかもしれないということになるやもしれません。<くすりは毒物>という発想を拭い捨てられないわたしにはまたひとつ難題が増えてしまいそうです。

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