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若造(後)

ショックでした。

「ホントに学校の先生は頑なで理解力がないよね(奥さんは元小学校教師・・・これをお読みの学校の先生、申し訳ありません。私が云ったんじゃないですが、私の両親を考えても『なるほど』と思うところがないわけではありませんでした)。」などと同情してくれる同僚の声も空しく聞こえました。こんな日進月歩の医療現場で、T先生のようなもう現場をリタイヤして長い先生を慕うばかりに、命に関わる重要な治療を受ける権利を放棄したなんて、あまりにもばかばかしくて情けないことだと思いました。

「○○くん(わたしのこと)、悔しいだろうけどね、先生がどれだけ優秀かをボクは知ってるけどね、でも世間一般ではそういうものなんだよ。信頼できる医者はそれなりの経験が必要なんだろうね。T先生にも『先生の人徳ですよ』とお答えしておいた。今回はいい経験したね。」・・・まるでわたしの心を見透かしたかのようにボスはそう云いました。

そして、「残念ながらゴールデンタイムは過ぎてしまったからこれから再潅流療法はできないけれど、奥さんのプライドと信頼して託したT先生の名誉のためにも、何とか元気な形で退院できるようにケアしてあげようよ。」・・・ボスは、最後にそう云って笑いました。

いつの間にか、わたしがそんな<時代遅れ>なT先生の年頃になりました。現場から離れて9年、もうわたしも循環器科医としては超時代遅れになってしまいました。・・・でも、今現場の若い先生を見て思うことは、「知識と技術はすごいのだろうけれどちょっと頼りない感じ」・・・なんか、当時の奥さんの目で当時の自分を眺めているような感覚です。

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