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やせメタボ

読売新聞に「『やせメタボ』ご用心、脳卒中・心筋梗塞リスク」の記事がありました(2010.4.4)。

東京大学の門脇孝先生が主任研究者になっている厚生労働省研究班の研究報告をまとめたもので、メタボリックシンドロームの腹囲基準見直しを目的にした研究です。腹囲と脳卒中・心筋梗塞の発症の関係を調べたところ、腹囲が大きくなると発症リスクが高くなるものの、腹囲が基準値未満でも発症リスクは同様にアップすることがわかったというものです。門脇先生の「腹囲は有効な指標だが、高血圧などのリスクが重なれば、太っていなくても、脳卒中などを発症しやすくなる。従来のメタボの枠組みに加え、やせた人の対策も強化する必要がある」というコメントで、記事は締めくくられていました。

この結果はずっと以前から報告されている、至極当たり前の結果ですし、門脇先生もかなりことばを選びながら語っているのをみると、おそらく研究班の先生方は腹囲測定の意義をしっかり理解していると思われます。問題は、この結果をマスコミが報道するときに取り違えをしないかどうか・・・これまで報道されてきたメタボ健診バッシングのほとんどが、報道する側の無理解に起因していたように思われ、わたしが懸念することはその一点に尽きます。

メタボの判定に腹囲測定が何故あるのか?くどいようですが、以前書いたように、血圧・血糖・脂質の異常の合併(マルチプル・リスクファクター症候群)に内臓脂肪蓄積が絡んでいる人は内臓脂肪減少に自分で取り組むだけで病気が改善する可能性がある。内臓脂肪蓄積が絡んでいない人は、やせても改善しない可能性が高く、生活療法と一緒に早く病院受診(+内服治療)を勧めなければならない。その振り分けのために腹囲があるのであり、メタボ健診で引っかからなかったマルチプル・リスクファクター症候群の人は保健指導などという悠長なことではなくて早く医療機関への受診を勧めなければならない、ということをもう一度強調しておきます。

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