« 真夜中の嵐 | トップページ | 行動変容(前編) »

かえって改善。

毎年人間ドックを受けに来られる80歳の女性が今年も受診されました。結果の説明をするために部屋にお呼びしたらちょっと浮かない顔をしています。

「今年はきっと結果が悪くなっていると思うんです。」・・・部屋に入るなり彼女は話し始めました。今年に入ってご高齢の旦那さんが手術を受けたのですが、その後の経過が思わしくなく入院生活が続いているのだそうです。そのため毎日バスで病院まで通い、自分の生活もままならないほどにバタバタとした気ぜわしい日々を送っておられました。

ところが、本人の心配とは裏腹に、健診結果として並んでいる数値はとても素晴らしいものでした。血圧や血糖やコレステロールなど、むしろ昨年までよりもはるかに良くなっています。旦那さんの病気に対する気苦労や今後の介護などの不安が溜まって心は沈んでいるようですが、それよりも、毎日決まった時間にバス停まで歩き、病院の中を歩き回り、間食することもなくまた決まった時間にバスに乗って帰る・・・この繰り返しがまさしく模範的な生活療法になっていたようです。

結果に驚き、そしてちょっと喜んだ後で、「退院してからの方が憂鬱です」と語った、そのことばが一番の本音なのだろうなと思いました。特に女性の場合はそれが云えます。そして一人暮らしになったことがかえって体調を良くさせるのもまた、男性よりも女性の方がはるかに多いことは、もはや普遍的な真実のように思われます。肺炎と闘っている旦那さんには悪いですが、今は今の生活を十分エンジョイしてほしいと思います。

|

« 真夜中の嵐 | トップページ | 行動変容(前編) »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 真夜中の嵐 | トップページ | 行動変容(前編) »