姪浜
遠いむかし。わたしは大学受験に失敗して、福岡にあるK予備校に通いました。
予備校入学の手続きと下宿の申し込みなどのために、母と二人で博多天神のど真ん中に佇みました。「でっけえ街だなあ」と思いました(それでも今とは全く比べものになならない一地方都市でしたが)。予備校と提携していた下宿屋さんはバスを使って1時間近くかかるところにありました。母は通りすがりの人にそこへの行き方を聞きました。
「『ひるのはま』にはどこに行ったら乗れますか?」
「『ひるのはま』?そんなところないですよ!」
通行人はとても怪訝そうな顔をしながらそう云って、申し訳なさそうに去っていきました。
「だってそこに一杯書いてあるのにね。」と、母は目の前を何台も通過して行く赤い西鉄バスの表示をみて明らかに戸惑っていました。天神のバスセンターの窓口で、文字を指差しながら「『ひるのはま』は?」と聞いたとき、「もしかして、『めいのはま』のことですか?」と聞き返されて、母はやっと合点した様子でした。
「おんなへんか~姪(めい)ね~。蛭(ひる)と思い込んでたわぁ。」・・・どちらの字も知らなかったわたしは、「さすが漢字と文法の先生、物知りな人だなあ」とひとり感心していましたが、きっと本人は目から火が出るほど恥ずかしかったでしょうね。
ふとそんなことを思い出した、今日は母の日です。ちょっと墓参りをしてきましょうか。
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