思いやりの重荷
むかし、とても仕事のできる看護師さんがおりました。病棟の看護業務にあたっていました。とても細かいことに気が回り、仕事もテキパキとこなし、しかもとても優しいので、患者さんにもスタッフにも人気がありました。同僚の人望も厚い人でした。
ただ、あるナースがそっと教えてくれたことがあります。深夜勤務の組み合わせが彼女と一緒なると、正直、ちょっと憂鬱になるのだそうです。そのナースだけでなく、他の多くのスタッフも同じ意見なのだと云います。
「どうして?夜中は2~3人で全部をしないといけないのだから、彼女のような人と一緒の方が何かと心強いんじゃないの?少なくとも当直をしている医者にとってはこんな有り難いことはないのに・・・。」
合点がいかないわたしは、その理由を聞いてみました。するとすぐに答えが返ってきました。
「だって先生、彼女のような人は自分で率先してテキパキ仕事をするんですよ。そして休憩時間になると、『いいよ。わたしが後やっておくから先に休んでおいて!』って必ず云うんです。・・・できるわけないじゃないですか、先輩である彼女に仕事を任せて自分たちだけ休むなんて!結局自分たちも一緒に起きて仕事をしてしまうから、疲れるんですよ。」・・・深夜勤務は体力が勝負です。休めるときにしっかり休んでおかないと救急病院の深夜勤務は務まりません。ほどほどにいい加減でいてくれた方が、後輩たちは心身ともに余裕ができるのだそうです。
そんなものなんですね。
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