復職に当たって
メンタル失調のために休職していた職員の復職面談がありました。これは、産業医の大事な仕事です。
復職するに当たって、当人と会社側の当面の心配事は、きちんと起きてきちんと時間通りに通勤・勤務できるかどうか、それで疲れが溜まり、徐々に元の木阿弥にならないかどうかということでしょう。でもこれは始めてみないとわからないところがあって、だからどの会社にもリハビリ出勤とか仮出勤とかいう準備期間を設けているわけです。
ただ、最近のメンタル失調は仕事内容の過重負荷がきっかけというよりも職場の人間関係がきっかけになることの方が多いように思います。そうなると、復職する当人が一番気にしていることは、本当は、直接のきっかけになった上司や同僚とどう接したら良いのだろうかという不安です。それは相手もまた同じでしょう。悪意がなかったとしても自分のとった態度がきっかけで休職した職員が復職するとなると、これからどう接したら良いのかさっぱり分かりません。
先日面談した復職者の場合は、きっかけになった上司と直接会って話をする場が前もって設けられたそうです。「仕事の注意以外に、日常生活に対する誹謗中傷まがいのことを云って傷つけたのは本当に悪かったと思うので謝る。ただし、仕事の内容についてはこれからも厳しく指導するつもりだから覚悟して出てこい!」・・・そのとき上司が云ったそのことばは、ちょっと乱暴ではあったけれど真意が分かり、返ってお互いの間にあった大きな壁が取り除かれた気がした、と当事者である復職予定の職員さんが語ってくれました。・・・「自分はあの人のせいでこんな虚しくて辛い人生を歩むことになったのだ!」と恨み節ばかりが頭から離れない人も少なくないでしょう。それを考えると、お互いに直接話す場をあえて作るのは、意外に悪くない方法かもしれないと思いました。
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