講演原稿その1
定年退職前の方々に対する「健康づくりについての講話」を頼まれました。来月初めなので、そろそろ重い腰をあげなければなるまいなと思いますが、さて何を話そうかと思案に暮れていましたら、たまたま4年前にある老人会でお話をしたときの原稿が出てきました。なかなか良いことが書いてありました。
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5年前まで、循環器内科の医者として救急医療に携わってきました。
意外に皆さんは<心臓病には縁がない>と思っている様子です。同じ動脈硬化の病気でも脳卒中の方が身近に感じている様子。でも、心筋梗塞で救急車で運ばれてくる患者さんの1/3は「自分は心臓だけは大丈夫だと思っていた」というのです。
今、心筋梗塞の考え方は大きく変わってきました。昔は、動脈硬化が徐々に進んで狭心症になり、もうこれ以上ムリ!というところで血管壁が壊れて詰まる(心筋梗塞になる)と考えられていました。ところが、大して狭くなくても血管は突然壊れるということが分かってきたのです。「ダムはあるとき突然決壊する」ということです。
心筋梗塞や脳卒中より厄介なのが<心不全>です。心不全は心臓の末期状態です。例えば、高血圧が原因で脳卒中や心筋梗塞になったとしても、何とか元気に戻してあげられます。でも、高血圧が原因で心不全にまでなってしまったら、もうどうしようもありません。高血圧による心不全はゆっくり進んでくるのでなかなか気付きません。どうもないからと云って、高血圧をほったらかしていませんか?心肥大があると云われていませんか?厄介なことに、多くの医者は興味がない(特に若い医者は派手なものに飛びつくので地味な病気に興味がない)ので、大したことを云ってくれません。だから、病気自体を大したことないと勝手に勘違いしている人が少なくありません。
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