和温療法
鹿児島で行われた第16回日本心臓リハビリテーション学会に行ってきました。
学会長を務められた鹿児島大学の鄭忠和教授といえば、やはり「温熱療法」が最初に頭に浮かびます。鄭先生が<カラダを適温で温めると万病が治る>と学会で発表し始めたのは、わたしがまだ医者になってすぐのころでした。医局の先輩諸氏はそんな研究を「まゆつばものの怪しい研究」という云い方で冷ややかに傍観していた印象があります。おそらく日本中、世界中が似たような反応だったので先生の研究はなかなか世に認められなかったのだと想像します。医学界が大好きな「EBM」や「作用発現のメカニズム」という点で「万病に効く」が受け入れられなかったのではないかと推測します。
それでも信念を持って研究を続けた情熱の先には、きっと常に患者さんがあったのだと思います。2007年4月に「和温療法」(和ませ温めるという造語)と改名して以降、一気に脚光を浴びました。世が「臓器よりも人間」「スペシャリストよりもジェネラリスト」の考え方に移り始めたことも後押ししたのではないでしょうか。スペシャリストになりたかった若いころのわたしは興味すら湧きませんでしたが、徐々にカラダ全体を診る医療に意識が移り始めるにつれて妙に気になってきました。ただ、昔の先輩諸氏の批判がずっと頭から離れず、こころのどこかで敬遠していたように思います。今回の学会で、多くの和温療法のセッションに参加できて、とてもすっきりした気分です。
和温療法:「心身を和ませる温度で全身を15分間均等加温室(器)で保温し、深部体温を約1.0 ℃ ~1.2 ℃上昇させた後、さらに30分間の安静保温で和温効果を持続させ、終了時に発汗に見合う水分を補給する治療法である」と定義。ちなみに、この「心身を和ませる温度」というのは41℃以下のいわゆる<ぬるま湯>の温度です。
| 固定リンク
« 目は口ほどに・・・ | トップページ | てんぷら »
「心と体」カテゴリの記事
- 運動は免罪符にあらず(2024.12.06)
- 認知症予防の野菜(2024.12.03)
- 家庭内予防(2024.12.02)
コメント