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恥ずかしかったこと

ふっとそんなことを思い出しました。うれしかったことよりも恥ずかしかったことの方が妙に鮮明に覚えているモノで、何かのきっかけでどっかの記憶の引き出しの隅の方から顔を出します。かといってそれは、たとえば恋愛だとか公の場での失態だとかいう、人生に大きな影響を与えた類の経験でもありません。

たとえば、小学校のころ・・・高山先生が担任だったから2年生のときかしら。帰りのホームルーム前の喧噪の中で、わたしは一人遊びをしていました。両耳を塞いでヘッドホーンのつもり。戦闘機のパイロットのわたしは「こちらは○○、応答せよ、応答せよ。」・・・徐々にその世界に入り込みながら小さな声で呟き続けました。
「応答は後にしましょうか。」・・・そんな声に気付いて目を開けると(いつから目を閉じていたのだろう)、教壇から高山先生がにっこり笑いながらこっちを見ていました。教室中が一気に笑い声に包まれました。いつの間にか静かになった教室にわたしの小さな呟きだけが大きく響いていたのでした。

大学生のときにも、下宿の四畳半の小さな部屋で、買ったばかりのヘッドホンでガンガンに音楽を聴いていてやらかしました。一緒に大声で歌っていたら(たぶんあれは、さだまさし)、ドアの向こうから大家さんの声。
「うるさいよ~!○○さん!・・・聞こえんのかな、酔っぱらってるんだろうか、もう・・・」
もちろんわたしは聞こえません。すっかり気分はさだまさし。しばらくして部屋を訪ねてきた隣の部屋の先輩から経緯を聞きました。大家さんに会う時のバツの悪かったこと。

それから研修医時代の入局歓迎会。教授の真ん前で「酔ってませんよ~」とか云いながら突然吐いたこと。でもこれは周りが騒ぐほど自分のココロを凹ませませんでした。何故なら、酔っぱらっていたから。もともと上司に対して気を遣わない性格(だから出世しなかった)ではありますが、酔っていたときのことなんかいちいち覚えておられましょうか!一応表向きは恐縮した顔で翌日お詫びをしに行きましたけど、小学校や大学のときの恥ずかしさに比べたら、どうってことなかった。

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