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赤血球のはさみ

~血液が流れ始める一番最初は、心臓が動き始めたときではなく、「はさみ」の役割をする蛋白分解酵素(ADAM8)によって血管壁にくっついている赤血球が切り離されたときである。~

Current Biology(2010:20:1110-1116)という雑誌に発表された京都大学(瀬原淳子教授)の研究結果にとても興味が湧きました。生命が発生する過程で<赤血球が流れ出す瞬間>・・・そんなことを考えたこともありませんでした。生命は生きている限り赤血球は他の血球と一緒に血管内を流れているものであり、流れが止まれば細胞が死ぬ(あるいは「細胞が死ねば流れが止まる」)のである、ということしか頭にありませんでした。

瀬原教授らのゼブラフィッシュ胚を使った研究では、「まず心臓の拍動が始まり動脈や静脈が形成されるころ、赤血球が次々に血管内に侵入する様子が確認できた。ところが、しばらくの間、赤血球は血管壁に付着したまま待機状態を取り、大血管形成後、ほとんどの血球が血管侵入を終えたころ、血球はいっせいに循環を始めた。」(Medical Tribune circulation today 2010.7.22 P71)・・・この、<血管から赤血球を切り離す>仕事をするのがADAM8という物質なのだそうですが、生命体の神秘として、こういう「臓器がきちんとできあがるまで<その場で待機する>」などということを規律正しく監視して実行しているシステムが存在すること。それがきわめて緻密に作用するから生命体が動くこと。そして、そんなメカニズムが21世紀なった今でもまだきちんと解明されていないのだということを考えると、何かワクワクする気持ちになります。

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