許せない
娘さんが不妊治療を受けているわたしの友人が、先日こんな話をしました。
不妊治療だけを行っている有名なクリニックに通う娘さん、先日妊娠反応が陽性になったそうです。まだ心臓の拍動が確認できなかったので1週間後にエコーで再確認したあと、地域の産婦人科医院に紹介をしましょう、という説明を受けました。娘さんにその話を聞いたお母さん(わたしの友人)曰く、「もう次の受診なんかしなくていいから、他の病院に行きなさい。どうせどっちで受けたって同じ検査をするのだから・・・。」
わたしは耳を疑いました。まだきちんと妊娠が確認されていません。うちの夫婦のように枯死卵かもしれないし、泡状奇胎かもしれない。一回で済むのなら、次までは今のクリニックを受診して紹介状を書いてもらうのが一番良い方法なのではないか?医療者であるわたしは、普通にそう考えたからです。ところが彼女は真っ向から反論しました。
もう何度も受診しているけれど、その医者は、最初から今までまだ一度も娘と目を合わせたことがない。診察室に入って準備されたデータを見ながら書類に何かを書き込んだら、顔を上げることもなく簡単な説明をしてそのまま去っていく。もう出て行っても良いのかどうかすら分からないこともある。人間として許せない。他人同士が会ったら「こんにちは」とか「よろしく」とか、社会人として最低限の挨拶がある。どんなに忙しくてもその気があれば誰でもできること。今回も「良かった」「頑張ったね」の人間的な言葉のひとつもない。これから新しい命が生まれてくる、その大事な第一歩の瞬間をそんな流れ作業の一部にしか思ってないような男に委ねることなどあり得ない。同じ生まれてくる最初の瞬間なら、まともな人間の医者のところに行かせたい。
産婦人科医は内診したら誰だかわかるけど顔を見てもピンと来ない、などと云うのは半ば笑い話でしかありませんが、今の医療現場で、特に先進医療の最先端を走っていると自負している医者たちには、こんなことは取るに足らないこと、やむを得ないことという空気が少なからずあるのではないか?・・・耳の痛い話に耳を塞がず、真摯に受け止めるべき事実であるように思いました。
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