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経験主義(1)

買っておきながらなかなか読み出せなかった「『治らない』時代の医療者心得帳-カスガ先生の答えのない悩み相談室」(春日武彦著、医学書院)をやっと読み始めました。帯にでっかく書かれたキャッチコピー、「きみに『中腰力』はあるか?~棚上げする度胸。矛盾に耐える知的肺活量。保留を重ねるツラの皮。タフな医療者は中腰だぜ!」に釣られて、つい買ってしまいました。

まだ「ちょっと長いまえがき」をやっと読み終えたところですが、その中に出てくる『焦熱の裁き』(DLロビンズ、村上和久訳、新潮文庫)の一節、アル中の牧師がスコッチ片手に語ることばを無性に書き写したくなりました。

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たぶん全能の神がたった一つ知らないのは、全能ではないというのがどういうものかということだろう。考えてもみろ、神は不死だから、死についてはなにも知らないのは明らかだ。神には欠点がないので、欠点や誘惑、欲望、貪欲、自責の念、猜疑心を持つというのがいったいどういうことなのか想像できない。神は万人に愛されているので、孤独や失望、怒りといった感情をまったく理解できない。神には天地を創造するだけの力があるので、当然ながら弱いというのが本当はどういうことなのかわからない。簡単にいえば、神は人間らしさというものがどういうものなのかわからないんだ。それがわれわれの仕事なんだ。無能なうえにちっぽけで、不道徳なうえに冷笑的で、限りある生命を持つことが。われわれは神の知識にブラックホールが一つあることを神に教えてやるのさ。・・・(後略)」

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