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アディポネクチン

「ご主人、今度『痩せるお茶』が出たんですよ!」

先日、近くの薬局のレジ前で、店員さんに呼び止められました。「なんで、オレやねん?」と癪に障ったのでしっかり無視しましたが、そのお茶のPRパネルに『アディポネクチン』の文字が躍っていました。アディポネクチンといえば、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンで、これがあるからこそ脂肪細胞が動脈硬化を抑え、インスリンの働きを活発にさせる重要な働きをしていることは以前ここに書きました(「運動療法は16時間」2008.5.14)。京都大学のグループがこれを発見して以降、京大や東大を中心に製品化の取り組みがかなり前から行われていました。

アディポネクチンを増やす食材として有名なのは大豆食品やワイン、食物繊維などですが、今や直接これをサプリで取り入れようとする動きはむしろ一般企業で活発化しているように思われます。動脈硬化を抑える作用はほとんどこの物質が司っているわけですから、直接これを摂取するのはもしや価値があるのかもしれません(あくまでもたんぱく質ですからこれがそのままホルモン作用するのかちょっとわたしには分かりません)が、アディポネクチンを摂取したら「痩せる」っていうのは本当でしょうか?ただこの物質、とても道徳的に分泌します。運動すれば上がるし、質の良い脂肪を摂っても上がるけれど、心身のストレスが溜まれば下がり、運動不足や暴飲暴食や喫煙はテキメンに下がります。つまりは、アディポネクチンの直接摂取が良いか悪いかということよりも、その他の生活まできちんとしない限り、焼け石に水なのではないかしら?

そんなことに思いを馳せながらも、すでに一般社会に入り込んでいる物質なんだということにちょっと感動しました。

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