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ふとんあげ

中学生の修学旅行で関西に行きました。京都の旅館に泊まった朝、わたしは自分のふとんを畳んで片付けました。「おとな、こどもならともなく、大の中学生なら自分のふとんくらいきちんと畳まなきゃ!」・・・本当によくできた中学生でした。同じ班の友人たちも見よう見まねで自分のふとんを畳みました。なんか、朝からとてもすっきりしたいい気分になりました。

ちょうどその頃合に、旅館のお兄さんがふとんをあげに部屋に入ってきました。バイトの大学生だと云っていました。「お、すごいね。これみんな君たちが畳んだの?みんな、えらいなあ!」・・・わたしたちが小積んだふとんの山を眺めて、彼は明るく笑いながらそう云いました。わたしたちはちょっと鼻高々・・・「君が班長さんか、ちゃんとみんなをまとめているね」とまで云われてさらに照れまくるわたし。でも、そう云いながら彼はわたしたちが畳んだふとんを一枚一枚広げて畳みなおし始めました。ものすごく手際の良い手つきで次々とキレイに畳みなおしていきます。「なんや、結局畳みなおすんやけん、ムダなことしたんやねえんかえ?返って邪魔やったんじゃ?」・・・それを見た友人が思った通りのことを口にしました。わたしは何も云えずに強張った顔をしてそれを眺めていました。「違う違う。これはぼくたちの仕事だからね。ひとつひとつ確認しないといけないんだ。君たちがきちんとしてくれたから、ほんと、とっても助かってるんだよ。」・・・彼は、ニコニコしてそう云ってから次の部屋に去っていきました。

彼が気を遣ってそう云ってくれたことは容易わかります。でもあのひと言がわたしの心をどれだけ救ってくれたことか。だから、そんな遠い昔の小さな出来事をバイト学生である彼の笑顔とともに今でもきっちり覚えているのだと思います。

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