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コミュニケーション

山本晴義先生の講演のはなしを続けます。

診察室の中での医者と患者の位置関係が変わったことは、外来をしなくなったわたしにも分かります。昔はお互いに向かい合う形で対座していました。それがいつの間にか医師はパソコンに向かい、電子カルテとやらに何かを打ち込みながら耳だけ話を聞いている(「『聞くhear』は耳だけ傾けている形。『聴くlisten』はみみへん+目と心と書いて聴く~だから相手を見ながら聴くのです。因みに『訊くask』は問診などで使われるけれどいわば尋問です。」と山本先生)構図。患者さんの話の内容云々よりも前に、患者さんの顔つきの変化に全く気付けない環境にあることは薄ら寒い現実です。にもかかわらず、医者も患者もそれを「いたしかたない」と思ってやり過ごしているわけです。

山本先生が某IT企業の産業医として職場巡視をしたとき、「一番健康的なところはどこでしたか?」の産業保健師の問いに「ダントツで『喫煙室』!」と即答したという話に皆の反応は今ひとつでしたが、わたしには笑えない現実としてとても強く印象に残りました。現代日本では、うつ病に罹るのは女性が2/3を占めているのに自殺者はその7割が男性である!何故か?自殺者の8割は人に相談をしない・・・女性と違い、男性はひとりで悩む人が多いから女性の倍以上の自殺者が出るのではないか?と山本先生は分析していました。今や一日中他人と何も話さなくても生活できます。仕事の間中パソコンに向かい、昼食は自販機で食券を買い、隣の人への伝言も社内メールを使い、コンビニで弁当を買って帰る昨今、たしかに、『喫煙室』だけに<生きた人間><人間らしい本物の人間>が居る空間だったというのは、単なるブラックユーモアではない厳しい現実だと思いました。

参考曲:「目を見て語れ 恋人たちよ」(高橋真梨子)
http://www.youtube.com/watch?v=Wp3W2nmahcA

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