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太っていないのに

「先生ちょっとお聞きしていいですか。わたしは、こんなにやせているし、食事も少ししか摂らないのに、どうして体脂肪率が30%以上もあるのでしょうか?どうしたら良いのでしょうか?」

人間ドックの診察をしている時に、不安そうにそんな質問をされたやせ形の60歳の女性がおりました。
「それは簡単にいえば『筋肉が少ない』ということになるのですが、『体脂肪率』はあくまでも比率ですから、太っているとかやせているとかいう絶対値の問題ではありません。体脂肪率30%という数値自体はさほど高すぎるものでもありませんし、きちんと皮下脂肪があった方が動脈硬化は進みにくいのですから、絶対値を考えるとこんなもので良いと思います。これから気を付けるべきことは、しっかり筋肉を維持させることです。それでなくても筋肉がなくなると途端に老化します。アンチエイジングの意味でも何とか意図的に動くように心掛けてください。」
「最近、朝のウォーキングを始めたところなんです。」・・・彼女は安堵した表情でそう話して、診察室から出ていきました。

体脂肪率が多い=脂肪が多い、と勘違いする御仁が女性の中に、特に若い女性の中に多いのでご注意いただきたいと思います。標準体重かむしろやせているのに体脂肪率が多い場合は、脂肪が多いのではなく脂肪以外=筋肉が少ないのです。

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