新モダリティ
先日シンチグラフィの読影をしていたら、わたしのうしろで某メーカーの営業の方が技師のリーダーに新しい検査機械のプレゼンをしていたので、聞くともなしに聴いていました。今度開発された新しいSPECT/CTがどれほど正確で繊細な画像を作れるかを切々と語っていました。それが今までできなかったどんな検査に応用できるとか、今まで読影者の熟練度にかかっていた部分が誰でも客観的でブレのない判読をできるとか、必死に説明しているのを聴きながら・・・天の邪鬼なわたしの心がピクピクっと騒ぐのです。
「そんな機械、要るのかしら?」
それは極端にいえば20年前に東京で初めてシンチグラフィを専門にするようになってからずっと感じていたことです。もちろん技術の進歩は素晴らしい。おかげで、どうしようかと悩むような所見がかなり正確に確定できるようになりました。手術をするべきかどうかに悩む症例に自信を持って方針を進言できるようになるでしょう。でも・・・この検査機器のおかげで検査を受ける患者さんは余分なレントゲン被曝を受け、高い検査代を支払うことになります。多くの人にとって方針決定のために無くてはならない必要不可欠な検査ではなく、熟練した医者が居れば従来の検査機器で同じ判断はできるのかもしれないのなら、むしろ医者の方が修練してレベルアップすることの方が患者さんには絶対的に有益なのではないのか。「それは在った方が良い」というのは、もしかしたら検査をする側のエゴイズムなのかもしれないと思うのです。
来春、九州新幹線が開通します。便利で素晴らしい世界が始まります。でも、「全員がそれに乗らないと福岡に行けない」というなら、それはムダ以上の何者でもありません。何かそんな思いと同じものを感じてしまうのです。
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